コンクリートのひび割れを自ら修復する自己治癒コンクリート

みなさんこんにちは山の頂日和です
今回は、人間の自然治癒力のコンクリート版みたいな感じの自己治癒コンクリートのお話です。
■自己治癒コンクリートとは
コンクリートに発生したひび割れをコンクリート自身が感知し、内部に組み込まれた修復機構によって、人の手を加える事なく自ら修復を進めていくものです。
まるで生物の人体のケガが自然に治癒していくように。
■コンクリートはなぜひびが入るのか
コンクリートには練り混ぜ時に多くの水分が使用され、この水はセメントとの水和反応で消費されるほか空気中に蒸発することで減少し、その際にコンクリートは収縮します。
この乾燥収縮によって、コンクリート構造には大小の差はあれ、収縮ひび割れが発生してしまうことを避けることができません。
■自己治癒コンクリートの仕組み
🔷バチルス菌を利用したバイオコンクリート
オランダ、デルフト工科大学のヘンドリック・M・ヨンカース准教授が率いるチームにより開発されたバクテリアの代謝活動を利用してコンクリートに発生したひび割れを炭酸カルシウムで自己治癒していく技術(Basilisk HA)です。
コンクリートが硬化しひび割れが発生すると、ひび割れから雨水と酸素が侵入します。
これにより、ひび割れ近傍のコンクリートのPHが低下していくことで、バクテリアは休眠から目覚め、分裂を繰り返します。
分裂したバクテリアは、周りの乳酸カルシウムを摂取し、炭酸カルシウムを排出します。
この炭酸カルシウムがひび割れを埋めていくのです。
これに加えて、バクテリアは炭酸カルシウムと一緒に水と二酸化炭素を排出します。この排出された水が、まず、ひび割れ表面の未水和のセメントと反応して水酸化カルシウムとなり、その後二酸化炭素と反応することで、炭酸カルシウムとなり、細かなピンホールも埋めて行きます。
🔷イースト菌、納豆菌を活用した自己修復技術
コンクリートのひび割れの中に菌類とカルシウム源、菌類の栄養素からなるバイオグラウト液を注入することで炭酸カルシウムを発生させ、ひび割れを埋めることで透水量が減少するとされています。
使用する菌類によって栄養素となる物質は異なり、イースト菌の場合はスクロースを、納豆菌は尿素を栄養として活動するそうです。
🔷 魔法のマッシュルームがコンクリートを修復
コンクリートを練り混ぜるときに胞子状の菌類を混合し、一旦休眠状態にさせてひび割れが入って水分が浸透すると胞子の殻を破って菌類が活動を始めるのはデルフト工科大学のチームと同じ発想ですが、このカビを使った修復の特徴は、ひび割れ内に菌類の繊維を発達させ、そこに炭酸カルシウムを形成させて充填していくことが特徴的です。
私たちが行っている建物検査でも、基礎のクラックがある物件が見受けられますが、今まではエポキシ樹脂で補修を行ってましたが。こちらが普及されれば、中古住宅のクラック補修に生かせると思います。
そして何より「環境にいい」ということが一番と、自然治癒力があるというのがいいですね。
私の体も経年劣化であちこちにヒビが入ってきましたので「自然治癒力」を期待しているのですがなかなかままならないのが現状です。
これがコンクリートの世界から人間の世界へ進化していけばいいですね。
iPS細胞もその始まりですね。
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